はじめに
最初に、本レビューは一般的なミニPCのレビューと異なり、かなり特殊な用途を前提としているため、レビュー観点や内容としてあまり参考にならない場合がある点は注意ください。

2024年8月にGMKtec NucBox G5というミニPCを購入。一般的なミニPCのサイズ(約12x12cm容積0.6Lくらい)と比べても72x72x45mm(容積0.23L)とかなり小型で、実測166gと軽量なのが特徴。Intel第12世代モバイル向けAlder Lake-NシリーズN97プロセッサーを搭載して2万円台前半と、コストパフォーマンスが高い。
購入理由としては、ものづくり活動でピコプロジェクターと組み合わせ手持ち可能なWindowsが動作するPC探していたところ、このミニPCであればバッテリー駆動で手持ちも出来そうだったことが大きな理由。現状ピコプロジェクターで投写するコンテンツはゲーミングノートPCから映像をワイヤレスで伝送しているので、いっそのことPCも手持ちにして映像コンテンツ生成も含め単体で実現出来ないかといったところ。
今回かなり特殊な用途のためこのサイズが必要でしたが、通常の使い方であれば幅・奥行が10~13cm程度の一般的なミニPCでも十分に小さいので、用途や使い方に合わせてサイズ以外の仕様で選ぶのが良さそう。
以下、今回NucBox G5を選んだ主な理由をまとめてみた。
- 内蔵GPUとしてはN100と同じIntel UHD GraphicsでもN97の方が動作クロックが高い(N100と実行ユニット数は同じものの、750MHzに対しN97が1.2GHzと1.6倍)
- メモリが12GB搭載(8GBだと足りなくなる可能性が高かったため)
- N100のミニPCと比べてもほぼ2万円と安かった(Amazon)
8/10購入時の価格20,509円(28,400円の24%引き+5%OFFクーポン)
主な仕様
最初にGMKtec NucBox G5に搭載されているN97と、同じくNシリーズのN100/N150/N95プロセッサーの主な仕様をまとめてみた。N97プロセッサーはCPU/GPUの最大周波数が高く、GPUの実行ユニット数も多いことが分かる。詳細仕様については、プロセッサー名のリンク先のIntel公式の製品仕様を参照。
| 仕様 | Intel N97 | Intel N100 | Intel N150 | Intel N95 | |
|---|---|---|---|---|---|
| CPU | 物理コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 |
| スレッド総数 | 4 | 4 | 4 | 4 | |
| ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.6 GHz | 3.4 GHz | 3.6 GHz | 3.4 GHz | |
| キャッシュ | 6 MB Intel® Smart Cache | 6 MB Intel® Smart Cache | 6 MB Intel® Smart Cache | 6 MB | |
| TDP | 12 W | 6 W | 6W | 15 W | |
| GPU | GPU Name | Intel® UHD Graphics | Intel® UHD Graphics | Intel® Graphics | Intel® UHD Graphics |
| グラフィックス最大動的周波数 | 1.2 GHz | 750 MHz | 1 GHz | 1.20 GHz | |
| 実行ユニット | 24 | 24 | 24 | 16 | |
| 補足事項 | 発売日 | Q1’23 | Q1’23 | Q1’25 | Q1’23 |
続いてNucBox G5と近いサイズで、N100プロセッサーを搭載したミニPCがいくつかあったのでまとめてみた。メーカーは異なるものの、見た目や筐体サイズ、各種インターフェイス、吸排気口の位置が同じような製品もあるので、同じプラットフォームを使っている可能性も考えられる。
公式ページやAmazonの製品情報で一部仕様が不明確な項目があったため、実際の仕様と異なる可能性がある点は注意が必要。
| 仕様 | GMKtec NucBox G5 | WayPonDEV Mini PC BY51 | GZBOX N100小型PC | SZBOX N100小型PC |
|---|---|---|---|---|
| プロセッサー | N97 | N100 | N100 | N100 |
| メモリ | 12 GB LPDDR5 4800 MT/s | 12GB LPDDR5 | 16GB LPDDR5 4800 MHz | 16GB LPDDR5 4800 MHz |
| ストレージ | 256 / 512 GB M.2 2242 SATA SSD | 128 / 256 / 512 GB M.2 2242 NVMe SSD | 0 / 256 / 512 GB / 1TB M.2 2242 SATA SSD (Max. 2TB) | 0 / 256 / 512 GB / 1TB M.2 2242 SATA SSD (Max. 2TB) |
| サイズ | 72x72x45.5mm | 72x72x44.5mm | 71.1×71.1×45.7mm | 71.1×71.1×45.7mm |
| 重量 | 206g 実測: 166g | 250g 実測: ?g | 200g 実測: ?g | 200g 実測: ?g |
| OS | Windows 11 Pro | Windows 11 Pro | Windows 11 Pro | Windows 11 Pro |
| Wi-Fi | Wi-Fi5 | Wi-Fi5 | WiFi6 AX200 アンテナ2本 | WiFi6 AX200 アンテナ2本 |
| Bluetooth | 4.2 | 4.2 | 5.2 | 5.2 |
| 有線LAN | RJ45 1Gbps x1 | RJ45 1Gbps x1 | RJ45 2.5Gbps x1 | RJ45 2.5Gbps x1 |
| USB | Type-A: 3.2 x3 | Type-A: 3.2 x3 | Type-A: 3.2 x3 | Type-A: 3.2 x3 |
| 電源 | USB Type-C: 12V/3A x1 | USB Type-C: 12V/3A x1 | USB Type-C: 12V/3A x1 | USB Type-C: 12V/3A x1 |
| HDMI | 2.0 x2 | 2.0 x2 | 2.0 x2 | 2.0 x2 |
| オーディオ | 3.5mm x1 | 3.5mm x1 | 3.5mm x1 | 3.5mm x1 |
| TFスロット | x1 | x1 | – | – |
| 色(メイン/上面)/素材 | シルバー+黒 シルバー+青 | 濃いグレー+黒 | ブロンズメタル+白 | ブロンズメタル+白 |
| 取付用 ネジ穴 | 底面M2 x2 | ? | ? | ? |
| 公式ページ | GMKtec NucBox G5 | youyeetoo BY51 | ? | ? |
| 価格 (Amazon: 2025/3/16 ※クーポン適用後) | 20,233円 12GB+256GB | 26,999円 12GB+256GB | 25,999円 16GB+256GB | 23,999円 16GB+256GB |
使用感

2024年8月に購入してから約7か月使用してみた感想を簡単にまとめてみた。
当初の目的であるピコプロジェクターと組み合わせ、バッテリー駆動可能なWindows PC用途としては期待通りのサイズ・重量だった。N100搭載であればほぼ同サイズの製品はあるものの、N97搭載で色々と探してみた限りではほかに見当たらなかった。

通常のミニPCとしての使い方での感想としては、NucBox G5のほか、N100搭載ミニPCに関する多くのレビュー記事の内容と同様に、一般的なブラウジングやネット動画の視聴、Officeなどを使う分には、ほぼストレスなく使えるのでコストパフォーマンスが高いと感じた。
以下CPU使用率と消費電力の測定結果からも、2024年5月に自作し普段使用しているPC『コンパクトでデザイン重視(でもそこそこ高性能)な自作PCを組んでみた(1/2)』が、ノートPC向けCPU搭載のため一般的なデスクトップPCと比べると省電力ではあるもののアイドル時約70Wなので、Unreal Engineなどでの開発や動画編集など使用しない時は、こちらでも十分ではないかと思えてしまうほど。ファンの音に関しては、CPU使用率が高い時は聞こえはするものの、あまり気にならない程度。
| 用途 | CPU使用率 | 消費電力 |
|---|---|---|
| アイドル時 | 10% | 10W |
| YouTube フルHD | 30-50% | 14-16W |
| YouTube 4K | 40-60% | 15-19W |
OSもWindows 11 Proというのもポイントで、普通にWindows 11 Proライセンスの価格で購入出来てしまうので、どのようにこの価格を実現出来ているかは気になるところ。
ライセンスについてはミニPCでボリュームライセンスだったという情報も良く見かけていたので、購入後すぐに確認したところOEMライセンスだったので問題なさそう。その後、追加で2台購入したものもOEMライセンスであることを確認済み。
ベンチマーク結果
以下ベンチマーク結果をまとめてみた。
- CINEBENCH R23
- 3DMark: Fire Strike/Time Spy
- CrystalDiskMark 8.0.4
CINEBENCH R23
| CPU (Multi/Single) | スコア |
|---|---|
| CPU (Multi Core) | 2,162 pts |
| CPU (Single Core) | 729 pts |
| MP Ratio | 2.97 x |
3DMark
System information
- GPU: Intel(R) UHD Graphics
- CPU: Intel N97
Fire Strike
| 詳細 | スコア |
|---|---|
| Fire Strike Score | 1,635 |
| Graphics score | 1,745 |
| Physics score | 5,899 |
| Combined score | 640 |
Time Spy
| 詳細 | スコア |
|---|---|
| Time Spy Score | 567 |
| Graphics score | 503 |
| CPU score | 2,052 |
以下、フレームレート・CPU/GPUの温度・使用率・動作クロックの推移。
温度については上から2番目のグラフで、CPU(GPU)は最初に90℃まで上がりその後70℃前後で推移、最後のCPU test時は90℃近くまで上昇。
GPUクロックは一番下のグラフのピンク色が該当、仕様通りの1.2GHzくらいで推移。
CrystalDiskMark 8.0.5

まとめ
当初の目的であるピコプロジェクターと組み合わせでの用途としては期待通りだった。モバイルバッテリーと組み合わせた手持ちでの使用のほか、Unreal Engineで開発していたコンテンツもそれなりに動かせることが分かったので以下の用途で追加で2台購入。イベントなどでもこのサイズであれば気軽に持ち運べるのは良いところ。
購入してから約7か月使用し今のところ特に問題はないものの、長期で使用した際の耐久性や再インストールした際のライセンスは問題ないかは気になるところ。
通常のミニPCとして、ブラウジングやネット動画の視聴、Officeなどの用途メインであれば、ほぼストレスなく使え、省電力でコストパフォーマンスも高いのでおすすめ。ここまでのサイズ・重量である必要性がなければ、N95/N97/N100/N150搭載のミニPCは多くあるので、インターフェイスやメモリ・ストレージ・拡張性など目的に合わせて選ぶのがおすすめ。
引き続き、長期間使用した際に気付いた点などがあればアップデートして行きたい。


